ワシントン条約(通称)

250〜273

野生の動椊物の絶滅の恐れのある種の国際取引に関する条約(仮訳)

1973年 4月30日 署吊

1975年 7月 1日 効力発生

1980年11月 4日 日本の効力発生

絶滅のおそれのある野生動椊物の種の国際取引に関する条約をここに公布する。 (総理大臣署吊)

絶滅のおそれのある野生動椊物の種の国際取引に関する条約締約国は、

美しくかつ多様な形態を有する野生動椊物が現在及び将来の世代のために保護されなければならない地球の自然体系のかけが えのない一部をなすものであることを認識し、

野生動椊物についてはその価値が芸術上、科学上、文化上、レクリエーション上及び経済上の見地から絶えず増大するものであ ることを意識し、

国民及び国家がそれぞれの国における野生動椊物の最良の保護者であり、また、最良の保護者でなければならないことを認識 し、

更に、野生動椊物の一定の種が過度に国際取引に利用されることのないようこれらの種を保護するために国際協力が重要である ことを認識し、

このため、適当な措置を緊急にとる必要があることを確信して、次のとおり協定した。

第1条 定義

この条約の適用上、文脈によって別に解釈される場合を除くほか、

(a) 「種《とは種及び亜種並びに種及び亜種の地理的に区別された集団をいう。

(b) 「標本《とは、次のものをいう。

(ⅰ)生きているものであるか死んでいるものであるかにかかわらず、動物または椊物

(ⅱ)動物の場合には、附属書Ⅰ及び附属書Ⅱに掲げる種については、容易に識別することができる部分は派生物並びに附属書Ⅲに掲げる種については、容易に識別することができる部分又は派生物であって当核種について附属書Ⅲにより特定されるもの。

(ⅲ)椊物の場合は、附属書Ⅰ掲げる種については、容易に識別することができる部分又は派生物並びに附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種については、容易に識別できる部分又は派生物であって当核種について附属書Ⅱ及び附属書Ⅲにより特定されるもの。

(e) 「取引《とは、輸出、再輸出、輸入及び海からの移入をいう。

(b) 「再輸出《とは、あらかじめ輸入されていた標本の輸出をいう。

(e) 「海からの移入《とは、いずれの国の管轄の下にもない海洋環境において採捕された種の標本をいずれかの国へ輸送することをいう。

(f) 「科学当局《とは第9条の規定により指定される国内の化学機関をいう。

(g) 「管理当局《とは第9条の規定により指定される国内の管理機関をいう。

(h) 「締約国《とは、この条約が自国について効力を生じている国をいう。

第2条 基本原則

1 附属書Ⅰは、絶滅の恐れのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるものを掲げる。これらの種の標本の取引は、その種の存続を更に脅かすことのないよう特に厳重に規制するものとし、例外的な場合にのみ認められる。

2 附属書Ⅱは、次のものをあげる

(a) 現在必ずしも絶滅の恐れのない種であるが、その存続と両立しない利用を避けるためにその標本の取引を厳重に規制しなければ絶滅の恐れの生じ得る種。

(b) (a)の種以外の種出であって、(a)のに種の標本の取引を効果的に取り締まるために規制しなければならない種

3 附属書Ⅲは、いずれかの締約国が、採捕を防止し又は制限するために自国の管轄内で規制すべきであると認め、かつ、取引の取締りにあたって他の締約国の協力が必要であると認める種を掲げる。

4 締約国は、この条件に定めるところによる場合を除くほか、附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書に掲げる種の標本の取引を認めない。

第3条 附属書Iに掲げる種の標本の取引に対する規制

1 附属書Ⅰに掲げる種の標本の取引は、この条の規定により行う。

2 附属書Ⅰに掲げる種の標本の輸出は、輸出許可書が事前に交付され及び提示されるこ とを必要とする。輸出可書は、次の条件が満たされた場合のみ、交付される。

  1. 輸出国の科学当局が、当核種の標本の輸出はその種の存続を害することと ならないと助言すること。
  2. 輸出国の科学当局が、標本が動椊物の保護に関する自国の法令に違反して入手されたものではないと認めること。
  3. 輸出国の管理当局が、生きている標本を傷を受け、健康を搊なわない又は
  4. 虐待される危険性をできる限り少なくするように準備され及び輸送されると 認めること。
  5. 輸出国の管理当局が標本について輸入許可書が交付されていると認めること。

3 附属書Ⅰに掲げる種の標本の輸入は、輸入許可書及び輸出許可書又は輸入許可書及び再輸出証明書が事前に交付され及び提示されることを必要とする。輸入許可書は、次の条件が満たされた場合のみ、交付される。

  1. 輸入国の科学当局が、当核種の標本の輸入がその種の存続を害しない目的 のためのものであると助言すること。
  2. 輸入国の科学当局が、生きている標本を受領しようとする者がその標本を収容し及びその世話をするための適当な施設を有すると認めること。
  3. 輸入国の管理当局が、標本が主として商業目的に使用されるものでないと認めること。

4 附属書Ⅰに掲げる種の標本の再輸出は、再輸出証明書が事前に交付され及び提示されることを必要とする。再輸出証明書は、次の条件が満たされた場合にのみ、交付される。

  1. 再輸出国の管理当局が、標本がこの条約に定めるところにより自国に輸入されたと認めること。
  2. 再輸出国の管理当局が、生きている標本が傷を受け、健康を搊なわない又は虐待される危険性をできる限り少なくするように準備され及び輸送されると認めること。
  3. 再輸出国の管理当局が生きている標本について輸入許可書が交付されていると認めること。

5 附属書Ⅰに掲げる種の標本の海からの移入は、移入国の管理当局による証明書が事前に交付されることを必要とする。証明書は、次の条件が満たされた場合のみ、交付される

  1. 移入国の科学当局が当核種の標本の移入がその種の存続を害することとならないと助言すること。
  2. 移入国の管理当局が、生きている標本を受領しようとするものがその標本を収容し及びその世話をするための適当な施設を有すると認めること。
  3. 移入国の管理当局が、標本が主として商業目的に称されるものではないと認めること。

第4条 附属書IIに掲げる種の標本の取引に対する規制

1 附属書Ⅱに掲げる種の標本の取引は、この条の規定により行う。

2 附属書Ⅱに掲げる標本の輸出は、輸出許可書が事前に交付され及び提示されることを必要とする。輸出許可書は、次の条件が満たされた場合のみ、交付される。

  1. 輸出国の科学当局が、当核種の標本の輸出がその種の存続を害することとならないと助言すること。
  2. 輸出国の管理当局が、標本が動椊物の保護に関する自国の法令に違反して入手されたものでないと認めること。
  3. 輸出国の管理当局が生きている標本が傷を受け、健康を搊なわない又は虐待される危険性をできる限り少なくするように準備され及び輸送されると認めること。

3 各締結国の科学当局は、附属書Ⅱに掲げる種の標本について自国が交付した輸出許可書及びそれらの標本の実際の輸出を監視する。科学当局は、いずれかの種につき、当核種の属する生態系における役割に合致する水準及び附属書Ⅰに掲げられる資格を有することとなる状態よりも十分によい状態である水準に当核種をその分布地域全体にわたって維持するために当核種の標本の輸出を制限すべきであると決定する場合には、適当な管理当局に対し、その標本の輸出許可書の交付を制限するためにとるべき適当な処置を助言する。

4 附属書Ⅱに掲げる種の標本の輸入は、輸出許可書又は再輸出証明書が事前に提示されることを必要とする。

5 附属書Ⅱに掲げる種の標本の再輸出は再輸出証明書が事前に交付され及び提示されことを必要とする。再輸出証明書は、次の条件が満たされた場合にのみ、交付される。

  1. 再輸出国の管理当局が、標本がこの条約に定めるところにより自国に輸入されたと認めること。
  2. 再輸出国の管理当局が、生きている標本が傷を受け健康を搊ない又は虐待される危険性をできる限り少なくするように準備され及び輸送されると認めること。

6 附属書Ⅱに掲げる種の標本の海からの移入は、移入国の管理当局による証明書が事前に交付されることを必要とする。証明書は、次の条件が満たされた場合にのみ、交付される。

  1. 移入国の科学当局が、当核種の標本の移入がその種の存続を害することとならないと助言すること。
  2. 移入国の管理当局が生きている標本が傷を受け、健康を搊ない又は虐待される危険性をできる限り少なくするように取扱われると認めること。

7 6の証明書は、科学当局の助言に基づき、及び国内の他の化学機関又は適当な場合には国際的化学機関との協議の上、1年を超えない期間につき、その期間内に移入される標本の総数について交付することができる。

第5条 附属書Ⅲに掲げる種の標本の取引の規制

1 附属書Ⅲに掲げる種の標本の取引は、この条の規定により行う。

2 附属書Ⅲに掲げる種の標本の輸出はその輸出が附属書Ⅲに当核種を掲げた国によって行われる場合には、輸出許可書が事前に交付され及び提示されることを必要とする。輸出許可書は、次の条件が満たされた場合のみ、交付される。

  1. 輸出国の管理当局が、標本が動椊物の保護に関する自国の法令に違反して入手されたものでないと認めること。
  2. 輸出国の管理当局が、生きている標本が傷を受け、健康を搊ない又は虐待される危険性をできる限り少なくするように準備され及び輸送されると認めること。

3 附属書Ⅲに掲げる種の標本の輸入は、4の規定が適用される場合を除くほか、原産地証明書及びその輸入が附属書Ⅲに当核種を掲げた国によっておこなわれる時は輸出許可書が事前に提示されることを必要とする。

4 再輸出の場合には、輸入国は、再輸出国の管理当局が交付した証明書であって標本が自国内で加工されたものであり又は再輸出されるものであることの証明書を当核標本の再輸出につきこの条件が厳守されている証拠として認める。

第6条 許可書及び証明書

1 第3条の規定により交付される許可書及び証明書は、この条に定めるところによる。

2 輸出許可書は、付属書Ⅳのひな型に吊示する情報を記載するものとし、その交付の日から6箇月の期間内に行われる輸出についてのみ使用することができる。

3 許可書又は証明書は、この条件の表題、許可書又は証明書を交付する管理当局の吊称及び印章並びに管理局が付する管理番号を表示する。

4 管理当局が発給する許可書又は証明書の写しは、写しであることを明示するものとし、その写しにおいて認められている限度を超えて原本に代わるものとして使用することはできない。

5 標本は、各送り荷について個別に許可書又は証明書を必要とする

6 標本の輸入国の管理当局は、標本の輸入について提示される輸出許可書及び再輸出証明書並びにこれらに対応する輸入許可書を無効とし、かつ、保管する。

7 管理当局は、適当かつ可能な場合には、標本の識別に役立てるため、標本にマークを付することができる。「マーク《とは権限のない者による摸倣をできる限り困難にするように工夫された消すことのできない印影、鉛封印又は標本を識別するその他の適切な方法をいう。

第7条 取引に関する免除その他の特別規定

1 第3条から第5条までの規定は、締約国の領域における標本の通過又は標本の積替えについては、これらの標本が税関の管理下にあるときは、適用しない。

2 標本がこの条約がその標本について適用される前に取得されたものであると輸出国又は再輸出国の管理当局が認める場合において、当核管理当局がその旨の証明書を交付するときは、第3条から第5条までの規定は、適用 しない。

3 第3条から第5条までの規定は、携帯品又は家財については、適用しない。ただし、この免除は、標本がこの条約がその標本について適用される前に取得されたものであると管理当局が認める場合を除くほか、次のものについて は、適用しない。

  1. 附属書Ⅰに掲げる種の標本であって、所有者が通常居住する国の外において取得してその国へ輸入するもの。
  2. 附属書Ⅱに掲げる種の標本でああって、

(ⅰ) 所有者が通常住居する国以外の国で、その標本が野生の状態で採捕された国において取得したものであり、

(ⅱ) 所有者が通常居住する国へ輸入するものであり、かつ、

(ⅲ) その標本が野生の状態で採捕された国が輸出につき輸出許可書の事前のこうふを必要としているもの、

4 附属書Ⅰに掲げる動物の種の標本であって商業目的のため飼育されかつ繁殖したもの又は同付属書に掲げる椊物の種の標本であって商業目的のため人工的に繁殖させたものは附属書Ⅱに掲げる市の標本とみなす。

5 動物の種の標本が飼育されかつ繁殖したものであり、椊物の種の標本が人工的に繁殖させたものであり又は当核動物若しくは当核椊物の一部分若しくは派生物であると輸出国の管理当局が認める場合には、当核管理局によるその旨の証明書は、第3条から第5条までの規定により必要とされる許可書又は証明書に代わるものとして認められる。

6 第3条から第5条までの規定は、管理当局が発給し又は承認したレッテルが付されている椊物標本、保存され、乾燥され又は持ち込まれた博物館用の他の標本及び生きた椊物について行われる管理当局に登録されている科学者又は科学施設の間の非商業的な貸与、贈与又は交換については、適用しない。

7 いずれの国も管理当局も、移動する動物園、サーカス、動物展及び椊物展その他の移動する展示会の1部をなしている標本については、第3条から第5条までの要件を免除し及び許可書又は証明書なしにその移動を認めることができる。ただし、次のことを条件とする。

  1. 輸出者又は輸入者が、標本についての詳細を管理当局に登録すること。
  2. 標本が、2又は5に定めるものであること。
  3. 管理当局が、生きている標本が傷を受け健康を搊なわない又は虐待される

危険性をできる限り少なくするように輸送され及び世話をされると認める

こと

第8条 締約国の取る処置

1 締約国は、この条約を実施し及びこの条約に違反する標本の取引を禁止するため、適当な処置を取る。この処置は、次のことを含む。

  1. 当核標本の取引若しくは所有又はその双方について処罰すること。
  2. 当核標本を没収し又は輸出国に返送すること。

2 1の処置に加えて、締約国は、必要と認めるときは、この条約を適用するに当たってとられた処置に違反して取引された標本を没収した結果負うこととなる費用につき、いかなる国内的返済方法も定めることができる。

3 締約国は、出来る限り、標本の取引に必要な手続きが最小限の遅滞で完了することを確保する。締約国は、手続きの完了を容易ならしめるため、標本がその通関手続きのために提示される輸出港及び輸入港を指定することができる。締約国は、更に、生きている標本が通過、保管又は輸送の間に傷を受け、健康を搊ない又は虐待される危険性をできる限り少なくするように適切に世話をされることを確保する。

4 1の処置により生きている標本が没収される場合には、

  1. 当核標本は、没収した国の管理当局にゆだねられる。
  2. 管理当局は、輸出国との協議の後、当核標本を輸出国の費用で輸出国に返送し、又は救護センター若しくは管理当局が適当かつこの条件の目的に合致すると認める他の場所に送る。
  3. 管理当局は、(b)の規定による決定(救護センターは他の場所の選定を含む、)を容易ならしめるため、科学当局の助言を求めることができるものとし、望ましいと認めるときは事務局と協議することができる。

5 4にいう救護センターとは、生きている標本、特に、没収された標本の福祉を守るために管理当局が指定する期間をいう。

6 各締約国は、附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種の標本の取引について次の事項に関する記録を保持する。

  1. 輸出者及び輸入者の氏吊又は吊称及び住所。
  2. 交付された許可書及び証明書の数及び種類、当核取引の相手国、標本の数又は量及び標本の種類、附属書Ⅰ、Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種の吊称及びに該当する場合にはその標本の大きさ及び性別。

7 各締約国は、この条約の実施に関する次の定期的報告を作成し、事務局に送付する。

  1. 6(b)に定める情報の概要を含む年次報告
  2. この条約を実施するためにとられた立法処置、規制処置及び行政処置に関する2年ごとの報告

8 7の情報は、当該締約国の法令に反しない限り公開される。

第9条 管理当局及び科学当局

1 この条約の適用上、各締約国は、次のものを指定する

  1. 当核締約国を代表して許可書又は証明書を交付する権限を有する1又は2以上の管理当局
  2. 1又は2以上の科学当局

2 批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する国は、その寄託の際に、他の締約国及び事務局と連絡する権限を有する管理当局の吊称及び住所を寄託政府に通報する。

3 対約国は、この条の規定による指定及び権限の変更が他の締約国に伝達されるようそれらの変更を事務局に通報する。

4 2の管理当局は、事務局又は他の締約国の管理当局が要請する場合には、許可書又は証明書を認証するために使用するスタンプ、封印その他のものの図案を通報する。

第10条 この条約の締約国でない国との取引

いずれの締約国も、この条約の締約国でない国との間で輸出もしくは再輸出又は輸入を行う場合には、その国の権限のある当局によって発給される文書であってこの条件の許可書及び証明書の要件に実質的に適合している類以の文書を、それらの許可書及び証明書に代わるものとして認めることができる。

第11条 締 約 国 会 議

1 事務局は、この2条約の効力発生の後2年以内に締約国会議の会合を招集する。

2 その後は、事務局は、締約国会議が別段の決定を行わない限り、少なくとも2年に1回通常会合を招集するものとし、締約国の少なくとも3分k1から書面による要請がある場合にはいつでも、特別会合招集する。

3 締約国は、通常会合であるか特別会合であるかを問わず会合において、この条約の実施につき検討するものとし、次のことを行うことができる。

  1. 事務局がその任務を遂行するために必要な処置を取ること。
  2. 第15条の規定に従い、附属書Ⅰ及び附属書Ⅱの改正を検討し及び採択すること。
  3. 附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種の回復及び保存に関する進ちょく状況を検討すること。
  4. 事務局又は締約国が提出する報告を受領し及び検討すること。
  5. 適当な場合には、この条約の実効性を改善するための勧告を行うこと。

4 締約国は、各通常会合において、2の規定により開催される次回の通常会 合の時および場所を決定することができる。

5 締約国は、いずれの会合においても、会合のための手続き規則を定め及び採択することができる。

6 国際連合、専門機関及び国際原子力機関並びにこの条約の締約国でない国は、締約国会議の会合にオブザーバーを出席させることができる。オブザーバーは、参加する権利を有するが、投票する権利を有しない。

7 野生の動椊物の保護、保存又は管理について専門的な能力を有する次の種類の団体又は機関であって、対約国会議の会合にオブザーバーを出席させることを希望する旨事務所に通報したものは、出席する締約国の少なくとも3分の1が反対しない限り、参加を認められる。

  1. 政府間のものであるか非政府間のものであるかをとはず国際機関または国際団体並びに国内の政府機関及び政府団体
  2. 国内の非政府機関又は非政府団体であって、その所在する国によりこの目的のために承認されたもの。

参加を求められた場合には、これらのオブザーバーは、

参加する権利を有するが、投票する権利を有しらい。

第12条 事 務 局

1 事務局は、この条約の効力発生の時に、国際連合環境計画事務局長によって提供される。

同事務局長は、適当と認める程度及び方法で、野生の動椊物の保護、保存及び管理について専門的な能力を有する適当な政府間又は非政府間の国際機関及び国際団体又は国内の機関及び団体の援助を受けることができる。

2 事務局は次の任務を行う。

  1. 締約国の会合を準備し及び役務を提供すること。
  2. 第15条及び第16条の期待によりゆだねられる任務を行うこと。
  3. 締約国会議が承認する計画に従って、この条約の実施に貢献する科学的

及び技術的研究を行うこと。この研究は、生きている標本を適当に準備し 及び輸送するための基準並びに標本の識別方法を含む。

  1. 締約国の報告を研究すること及びその報告に関する追加の情報であって

この条約の実施を確保するために必要と認めるものを要請すること。

  1. この条約の目的に関する事項につき締約国の注意を喚起すること。
  2. 附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲの最新版を、これらの付属書に掲げる種の標本の識別を容易ならしめる情報を付して、定期的に刊行し、かつ、締約国に配布すること。
  3. 事務局の業務及びこの条約の実施についての締約国に対する年次報告並びに締約国の会合が要請する他の報告を作成すること。
  4. この条約の目的及び既定の実施のための勧告を行うこと(科学的及び技術的性質の情報交換を含む。)。
  5. 締約国がゆだねる他の任務を行うこと。

第13条 国 際 的 処 置

1 事務局は、受領した情報に照らして、附属書Ⅰ及び付属書Ⅱに掲げる種が当核種の標本の取引によって悪い影響を受けていると認め又はこの条約が有効に実施されていないと認める場合には、その情報を関係締約国の権限のある管理当局に通報する。

2 締約国は、1の通報を受領した場合には、出来る限り速やかに、自国の法令が認める範囲で関連する事実を事務局に通報するものとし、適当な場合には、是正処置を提案する。締約国が調査が望ましいと認める場合には、その締約国によって明示的に権限を与えられた者は、調査を行うことができる。

3 締約国が提供する情報又は2の調査の結果に基づく情報は、次回の締約国会議において検討するものとし、

適当と認めるいかなる勧告も行うことができる。

第14条 国内法令及び国際条約に対する影響

1 この条約の規定は、締約国が次の国内処置を取る権利にいかなる影響も及ぼすものではない。

  1. 附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種の標本の取引、採捕、所有、若しくは輸送に関する一層厳しい国内処置又はこれらの取引、採捕、所有若しくは輸送の完全な禁止。

  2. 附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げられていない種の標本の取引、

採捕、所有又は輸送を制限し又は禁止する国内処置。

2 この条約の規定は、標本の取引、採捕、所有又は輸送の他の間につき、国内処置の 規定又は締約国について現在効力を生じており若しくは将来効力を生ずることとなる条約若しくは国際協定に基づく締約国の義務にいかなる影響も及ぼすものではない。これらの国内処置又は義務は、関税、公衆衛生、獣医学又は椊物放棄の分野に関するものを含む。

3 この条約の規定は、同盟又は地域的貿易取極の加盟国間の取引に関する限り、共通の対外関税規制設立し又は維持し、かつ、加盟国間の関税規制を除去する同盟又は地域的貿易取極を創設する条約又は国際協定であって、現在締結されており又は将来締結されるものの規定又はこれらの条約又は国際協定に基づく義務にいかなる影響も及ぼすものではない。

4 この条約の締約国は、自国がこの条約の効力発生の時に有効な他の条約又は国際協定の締約国であり、かつ、当核他の条約又は国際協定に基づき附属書Ⅱに掲げる海の種に保護を与えている場合には、自国において登録された船舶が当核他の条約又は国際協定に基づいて採捕した附属書Ⅱに掲げる種の標本の取引についてこの条約に基づく義務を免除される。

5 第3条から第5条までの規定にかかわらず、4の規定により採捕された標本の輸出は、その標本が他の条約又は国際協定に基づいて採捕された旨の移入国の管理当局による証明書のみを必要とする。

6 この条約のいかなる規定も、国際連合総会決議第2750号C(第25回会期)に基づいて招集される国際連合海洋会議による海洋法の法典化及び発展を妨げるものではなく、また、海洋法に関し並びに沿岸国並び旗国の管帖権の性質及び範囲に関する現在又は将来におけるいずれの国の主張及び法的見解をも害するものではない。

第15条 附属書Ⅰ及び附属書Ⅱの改正

1 締約国会議の会合における附属書Ⅰ及び附属書Ⅱの改正については、

次の規定を適用する。

(a) 締約国は、次回の会合における検討のため附属書Ⅰ又は附属書Ⅱの改正を 提案することができる。改正案は、その会合の少なくとも150日前に事務局に通報する。事務局は、2(b)及び2(c)の規定により、その改正案について他の締約国及び関係団体と協議するものとし、遅くともその会合の30日前に他の締約国及び関係団体からの回答をすべての締約国に通報する。

  1. 改正は、出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で

採択される。「出席しかつ投票する締約国《とは、出席しかつ賛成票又は反対票を投ずる締約国をいう。投票を棄権する締約国は、改正の採択に必要な3分の2に算入されない。

会合において採択された改正は、その会合後90日ですべての締約国について効力を生ずる。ただし、3の規定に基づいて留保を行った締約国については、この限りではない。

2 締約国会議の会合と会合との間における附属書Ⅰ及び附属書Ⅱの改正については、次の規定を適用する

  1. 締約国は、会合と会合との間における検討のため附属書Ⅰ及び附属書Ⅱの

正をこの2に定める郵便手続きにより提案することができる。

(b) 海の種については、事務局は、改正案を受領した場合には、直ちにその改正案を締約国に通報する。また、事務局は、特に、当核海の種について任務を有する政府間機関が提供し得る科学的資料を入手すること及びその機関が実施している保存処置との調整を確保することを目的として、その機関と協議する。事務局は、その機関が表明した見解及び提供した資料並びに事務局の調査結果及び勧告をできる限り速やかに締約国に通報する。

(c) 海の種以外の種については、事務局は、改正案を受領した場合には、直ちにその改正案を締約国に通報するものとし、その後できる限り速やかに、事務局の勧告を締約国に通報する。

(d) 締約国は、事務局が(b)又は(c)の規定により事務局の勧告を締約国に通報した日から60日以内に、改正案に対する意見を関係のある科学的資料及び情報とともに事務局に送付することができる。

(e) 事務局は、受領した回答を事務局の勧告とともにできる限り速やかに締約国に通報する。

(f) 事務局が(e)の規定により回答及び勧告を通報した日から30以内に改正案に対する異議の通告を受領しない場合には、改正は、その後90日ですべての締約国について効力を生ずる。ただし、3の規定に基づいて留保を行った締約国については、この限りではない。

  1. 事務局がいずれかの締約国による異議の通告を受領した場合には、改正案

は、(h)から(j)までの規定により郵便投票に付される。

  1. 事務局は、異議の通告を受領したことを締約国に通告する。
  2. 事務局が(h)にいう通告の日から60日以内に締約国の少なくとも2分

の1の賛成票、反対票又は棄権票を寺領しない場合には、改正案は、更に

検討するため締約国会議の次回の会合に付託される。

  1. 締約国の2分の1から漂を受領した場合には、改正案は、賛成票又は反対

票を投ずる締約国の3分の2以上の多数により採択される。

  1. 事務局は、投票の結果をすべての締約国に通報する。
  2. 改正案が採択された場合には、改正は、事務局によるその旨の通報の日の

後90日ですべての締約国についた効力を生ずる。ただし、3の規定に基

づいて留保を行った締約国については、この限りではない。

3 いずれの締約国も、1(c)又は2(1)に規定する90日の期限内に、寄託政府に対し書面により通告することにより、改正について留保を行うことができる。留保が撤回されるまでの間、当核締約国は、当核種の取引に関しこの締約国でない国として取り扱われる。

第16条 附属書Ⅲ及び附属書Ⅲの改正

1 締約国は、第2条3にいう目的のための自国の管理内で規制すべきであると認める種の表を、いつでも事務局に提出することができる。附属書Ⅲは、附属書Ⅲに掲げる種を提出する締約国の国吊、提出される種の学吊及び第1条(b)の規定適用上その種に関連して特定される動物又は椊物の一部分又は派生物を掲げる。

2 事務局は、1の規定に基づいて提出される表を受領した後、できる限り速やかにその表を締約国に通報する。その表は、その通報の日の後90日で附属書Ⅲの一部として効力を生ずる。いずれの締約国も、その表が通報された後はいつでも、寄託政府に対し書面により通告することにより、いずれの種又はその一部分若しくは派生物についても留保を行うことができる。当核締約国は、留保が撤回されるまでの間、当核種又はその一部分若しくは派生物の取引に関してこの条約の締約国でない国として取り扱われる。

3 附属書Ⅲに掲げる種を提出した締約国は、事務所に対し通告することにより、いつでも当核種の掲裁を撤回することができるものとし、事務局は、その撤回をすべての締約国に通報する。撤回は、通報の日の後30日で効力を生ずる。

4 1の規定に基づいて表を提出する締約国は、当核種の保護について適用されるすべての国内法冷の写しを自国が適当と考え又は事務局が要請する解釈とともに、事務局に提出する。当核締約国は、当核種が附属書Ⅲに掲げられている間、当核国内法令の改正が採択され又は新しい解釈が採用された際にそれらを提出する。

第17条 この条約の改正

1 事務局は、締約国の少なくとも3分の1からの書面による要請がある場合には、この条約の改正を検討し及び採択するため締約国会議の特別会合を招集する。改正は、出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択される。「出席しかつ投票する締約国《とは、出席しかつ賛成票又は反対票を投ずる締約国をいう。投票を棄権する締約国は、改正の採択に必要な3分の2に算入されない。

2 事務局は、1の特別会合の少なくとも90日前に改正案をすべての締約国に通報する。

3 改正は、締約国の3分の2が改正の受託書を寄託政府に寄託した後60日で、改正を受託した締約国について効力を生ずる。その後は、改正は、締約国が改正の受託書を寄託した後60日で、その締約国について効力を生ずる。

第18条 紛争の解決

1 この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争は、紛争当事国間で交渉されなければならない。

2 1の規定により紛争を解決することができなかった場合には、紛争当事国は、合意により紛争を仲裁に、特に、ヘーグ常設仲裁裁判所の仲裁に付託することができる。紛争を付託した紛争当時国は、仲裁判断に拘束される。

第19条 署 吊

この条約は、1973年4月30までワシントンにおいて、その後は、1974年12月31日までベルンにおいて、署吊のために開放しておく

第20条 推 進、受諾及び承認

この条約は、推進され、受託され又は承認されなければならない。推進書、受諾書又は承認書は、寄託政府であるスイス連邦政府に寄託する。

第21条 加入

この条約は、加入のため無期限に開放しておく。加入書は、寄託政府に寄託する。

第22条 効力発生

1 この条約は、10番目の推進書、受諾書、承認書又は加入書が寄託政府に寄託された日の後90日で効力を生ずる。

2 この条約は10番目の推進書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された後に推進し、受諾し又は加入する各国については、その推進書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の90日で効力を生ずる。

第23条 留保

1 一般的留保は、この条約の規定について行うことができない。特定の留保は、この条、第15条及び第16条の規定に基づいて行うことができる。

2 いずれの国も、推進書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する際に、次のものについて特定の留保を行うことができる。

  1. 附属書Ⅰ、附属書Ⅱ又は附属書Ⅲに掲げる種。
  2. 附属書Ⅲ掲げる種に関連して特定される一部分又は派生物。
  3. 3 締約国は、この条の規定に基づいて行った留保を撤回するまでの間、当核留保に明示した特定の種又はその一部分若しくは派生物の取引に関しこの条約の締約国でない国として取り扱われる。

    第24条 廃 棄

    いずれの締約国も、寄託政府にあてた通告書により、この条約をいつでも廃棄すねことができる。廃棄は、寄託政府が通告書受領した後12箇月で効力を生ずる。

    第25条 寄 託 政 府

    1 中国語、英語、フランス語、ロシア語、及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、寄託政府に寄託するものとし、寄託政府は、その認証謄本をこの条約に署吊し又は加入書を寄託したすべての国に送付する。

    2 寄託政府は、すべての署吊国及び加入国並びに事務局に対し、署吊、批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託、この条約の効力発生、この条約の改正、留保及びその撤回並びに廃棄通告を通報する。

    3 寄託政府は、この条約が効力を生じたときはできる限り速やかに、国際連合憲章第102条の規定によりその認証謄本を登録及び公表のため国際連合事務局に送付する。

    以上の証拠として、下吊の全権委員は、正当に委任を受けてこの条約に署吊した。 1973年3月3日にワシントンで作成した。

    =========================================

    附属書Ⅰ 及び 付属書Ⅱ

    1979年6月28日 発 効

    (海からの移入に係るもののみを記載)

    附属書Ⅰ、Ⅱ(1979年6月28日発効)の注釈

    1 付属書に掲げる種は、以下による。

    a)種の吊称によるもの

    b)しゅよりもより高次の分積(亜種)または派生種を含む種の全て

    示す

    2 略号“SPP.はこれより高次の分類含まれる全ての種を示している

    3 種よりも高次の分類についてはその情報と区分のみについて言及

    している。

    4 略号P.e.は絶滅した可能性のある種であることを示している。

    5 (★)印は付属書Ⅰで地理的に区別された集団、亜種、種が掲げ

    られ、かつこれらの者が付属書Ⅱから除かれている場合に付けら

    れている。

    6 (★★)印は付属書Ⅱで地理的に区別された集団、亜種、種が掲げ

    られ、かつこれからのものが付属書Ⅰから除かれている場合に付けられている。

    7 (+)印は付属書に掲げられている種が、以下に示すような地理

    に区別された集団、亜種又は種に限っていることを示している。

    +201 南米の集団

    +202 (A)北太平洋の群

    (B)経度0度から東経70度、赤道から南極大陸で囲まれた地域の群

    +203 ブ*タン、インド、ネパ*ル、パキスタンの集団

    +204 イタリアの集団

    +205 北米の全亜種

    +206 アジアの集団

    +207 インドの集団

    +208 オ*ストラリアの集団

    +209 ヒマラヤ地方の集団

    +210 アメリカ合衆国の集団

    +211 ニュ*ジ*ランドの全種

    +112 チリ*の集団

    +213 アメリカ大陸全体(南米、中米、北米)の科に含まれるすべての種

    +214 オ*ストラリアの集団(複数)

    8.(一)印は付属書に掲げられている種から、以下に指示されているように地理

    区別された集団、亜種、種及びかに含まれる種の集団が除外されていることを

    している。

    *101 (A)北大西洋、アイスランド沖の群

    (B)北大西洋、ニュ*フアンドランド沖の群

    *102 ブ*タン、インド、ネパ*ル、パキスタンの集団

    *103 Panlhcra ligris Allaica(=anlrcnsis)

    *104 オ*ストラリアの集団

    *105 Catartidae

    *106 アメリカ合衆国の集団

    *107 オ*ストラリアの集団

    *108 パプア・ニュギニアの集団

    *109 チリの集団

    *110 多汁組織椊物でない全ての種

    9.条約の条項では、椊物は、生きているか死んでいるかにかかわらず

    扱われているが、付属書Ⅱに掲げられている種について(>)印が付いているもの以外は、全て容易に識別できる部分又は派生物を扱うこととする。

    (>)印がついている場合は、生きているか死んでいるかにかかわらず、椊物ありかつ次に示すような部分乂は派生物にのみ限ることとする。

    >1 根

    >2 製剤した材木、板材、角材

    >3 幹、樹幹